あの人の臨醐山黒酢レシピ Rinkosan Black Vinegar Recipe

上田淳子さん

煮詰めるとすごくおいしく
なる。
もうバルサミコはいらないかも

料理研究家
上田淳子さん
スイスやフランスなどでの料理修業や厨房での勤務経験を生かしたフレンチベースのきちんとおいしい家庭料理から、忙しい毎日の中で2人の双子を育て上げた実績に裏打ちされた、毎日無理なく作れるふだんの料理まで、レパートリーの幅の広さとレシピの確かさは業界随一。関西出身ならではの軽妙なトークも楽しく、名コピーライターさながらにキャッチーな言葉が次々飛び出し、それが実に理路整然として説得力があるのです。そんな上田さんが臨醐山黒酢を愛用していると聞き、いったいどんなフレーズでその魅力を語ってくれるのかと期待しながら、アトリエ「J.U Labo」を訪ねました。

「ちょっと舐め比べしてみませんか?」
アトリエに着くやいなや、上田さんが差し出したのは、透明感のある黒い液体と、とろりとした真っ黒な液体が入った2つの白い小皿。

「左は、臨醐山黒酢をボトルから出しただけのもの。きれいで軽やかな味で、これで黒酢酢豚を作るとやっぱりおいしいなあといつも思うんです。そして右は、臨醐山黒酢を半分に煮詰めただけのもの。何にも混ぜていません。濃厚でコクがあるのに、バルサミコのように甘くないでしょう?

牛肉のタリアータ風濃縮黒酢ソース

バルサミコの甘さは料理の邪魔をすることがありますが、臨醐山黒酢を煮詰めたものならすっきりしているので、使い勝手がいいんです。濃厚な酢豚を作りたかったらこれで作ればいいですし、このままソースにしても、オリーブオイルと塩、あるいはごま油と塩、サラダ油とおしょうゆを加えたソースにするのでもいい。黒酢を1本買って使いきれないとか、どう使っていいかわからないというときは、煮詰めるとバルサミコより身近で濃厚なお味がすぐにできます。煮詰めた商品も作りませんか?」
と商品開発を提案。さすがです。

臨醐山黒酢をそのまま使うだけでなく、煮詰めて濃くすることもあれば、薄めて軽やかにすることもよくあるという上田さん。薄めるときの相棒はおだしだったり、しょうゆなどの調味料の場合もあれば、お酢同士のこともあるといいます。
「もともとは油からの発想でした。オリーブオイルばかりでドレッシングを作っていると、葉っぱによって負けてしまうことがあって、でもサラダ油だとコクがないというときに、濃い油を混ぜればいいんだ! と気づいたんです。同じ調味料で濃いものと薄いものを混ぜれば、ちょうどいい欲しいものが作れます。なので、お酢も1本だけより、薄いものと濃いものを2本持っていたほうがいいと思いますね。2本あれば、素材に合わせて1対1にも、1対2にもできます。ちりめんじゃこなら濃いめ、しらすは薄めにというふうに」

牛肉のタリアータ風濃縮黒酢ソース

上田さんにとっての臨醐山黒酢は、穀物酢、米酢のもう一段上の濃いお酢、味わいが深いお酢という立ち位置というわけです。
「コクはあるけど甘くない。きれいで軽やか。今の食生活にフィットしやすいと思います。和食であれば、おしょうゆが効いた甘酸っぱい味を作るときにはとてもいいですし、中国料理で黒酢を使うものを臨醐山黒酢で作れば、日本酒にもビールにもワインにも合う味になり、紹興酒がいらない食卓を演出できます。黒酢が使えそうなカテゴリーにはなかった西洋料理にも、煮詰めたり薄めたりしながらバルサミコの代わりに使えます。バルサミコだと言って出しても、誰も気づきませんよ。もうバルサミコはいらないかも」。

牛肉のタリアータ風濃縮黒酢ソース

というわけで、今回作ってくれたのは、牛肉のタリアータ風 濃縮黒酢ソース。

タリアータとは、塊のまま焼いた牛肉をスライスして、バルサミコソースをかけていただくイタリア料理。それを焼肉用の薄切り肉で、バルサミコソースの代わりに濃縮した黒酢でアレンジ。お皿にルッコラ、クレソン、ベビーリーフを敷いてオリーブオイルをかけ、表面をさっと焼いた焼き肉用の赤身肉をのせたら、塩、こしょう、濃縮黒酢ソースをかけるだけ。ドレッシングを作る手間もいりません。

牛肉のタリアータ風濃縮黒酢ソース

「焼き肉用の赤身肉を低い温度でゆるくさっと焼けば、ローストビーフのようになるんです。これならローストビーフを作って人を招くより全然ラク。サラダはあらかじめ用意しておいて、簡単なものをつまんでもらっている間にお肉をささっと焼いて出せばいい。もちろん、今日は疲れて何も作る気力がないときも、ベビーリーフとお肉を買って帰ってこれを作れば、あとは赤ワインがあれば幸せでしょう?」

中華風にしたければ、オイルをごま油にして、しょうゆをかけて花椒をふってもいいし、牛肉の代わりに豚の薄切り肉をこんがり焼いても、下に中華茹で麺が入っていてもいいという。

牛肉のタリアータ風濃縮黒酢ソース

「例えば豚肉の場合なら、バラ肉を焼いて出てきた脂に臨醐山黒酢と塩かしょうゆを入れてひと煮立ちさせたものをかけてもいいと思います。西洋料理に、ベーコンを焼いて出てきた脂にお酢を入れて沸かし、ベーコン入りドレッシングにして葉っぱにかけるというのがあるんです。実は西洋では、お酢を煮詰めて仕上げにかけるという使い方はあまりしなくて、むしろ調理中に煮詰めていくほうが一般的。西洋は”煮詰めの国”なんです。お酢でもワインでも、煮詰めて味を濃くしたところに、肉や野菜を合わせていく。肉を焼いて取り出し、ワインを入れる、煮詰める、お酢を入れる、煮詰める。そうすることで、ワインが濃厚ワイン風調味料になり、お酢が酸味の入ったアミノ酸調味料になる。そこに肉を戻し、野菜を戻し、何かしらの液体を入れて煮込む。つまり西洋のお酢って、日本のみりんや日本酒のように煮込みに使うことが非常に多いんですよ。なので、臨醐山黒酢で作る鶏もも肉のヴィネガー煮込みをご紹介しようかなとも思ったのですが、煮詰めるとすごくおいしくなって、濃縮黒酢ソースとしていろんな使い方ができるのは日本人ならでは。ぜひ試してみてください」

牛肉のタリアータ風濃縮黒酢ソース

上田淳子

Profile

兵庫県神戸市生まれ。調理師学校西洋料理研究職員を経て渡欧。スイスのホテルやパン店、フランスではミシュラン星付きのレストランやシャルキュトリーなどで3年間研鑽を積む。帰国後、シェフパティシエを経て、料理研究家として独立。自宅で料理教室を主宰するほか、雑誌やテレビ、広告などでも活躍。近著『フランス人は、3つの調理法で肉を食べる。』(誠文堂新光社)のほか著書多数。

Rinkosan
Black Vinegar
Recipes 臨醐山黒酢レシピ

牛肉のタリアータ風濃縮黒酢ソース

バルサミコより身近で濃厚牛肉のタリアータ風 濃縮黒酢ソース

黒酢を煮詰めた濃縮ソースがあれば、
薄切りの牛赤身肉をささっと焼いて、
葉っぱの上にのせるだけ。
頑張ってローストビーフを作らなくても
大人のお客さまのおもてなしに最適。

材料

【材料(2~3人分)】

牛赤身肉(焼肉用)…300g
ベビーリーフ、クレソン、
ルッコラ(写真はセルバチカ)…50g程度
オリーブオイル…適量
臨醐山黒酢…適量
粗塩、粗挽き黒こしょう…適量

【作り方 】

1.
臨醐山黒酢100㎖を小鍋に入れて中火にかける。煮立ったらそのまま半量程度まで(少しトロッとするまで)煮詰める。火を止め、冷ましておく。*煮詰めたものは清潔な容器に入れ、冷蔵庫で1ヶ月ほど保存可能。
2.
クレソンは固い茎を取り除き、ベビーリーフ、ルッコラと共に水につけてパリッとさせる。サラダスピナーなどで水気をしっかり切って皿に広げ、オリーブオイル小さじ1程度を全体に回しかけておく。
3.
フライパンにオリーブオイル小さじ1をひいて中火にかける。熱くなったら弱めの中火にして肉を広げる。焼き色をつけることを目指さず、表面の色が変わったら手早く裏返し、 裏面も同様に焼いて2の皿にのせる。残りの肉も同様に焼き、皿にのせる。
4.
全体に粗挽き黒こしょうと粗塩を適量かけ、肉全体に1の煮詰めた黒酢を大さじ1~1と1/2程度かける。
材料

【ひと口メモ】

牛肉はランプやイチボなどの赤身肉で、ふわっと折り曲げられるくらいの断面のものを。

黒酢を煮詰めるときは、決して顔を鍋の上に持ってこないこと。むせます。

濃縮黒酢ソースに合わせる野菜は、味の濃いものがおすすめ。春菊や小松菜、ほうれん草などでも。

肉を焼くときは、一度に全部入れようと思わず数度に分ける。

肉は弱めの中火で、決して焼き過ぎない。肉の表面の色が変わったら裏返して同様に焼く。

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